12月に入ったというのに、この年はけっこう暖かく、
昼間に家にこもって仕事をしていた主人(のちに福ちゃんの
お父さんとなる)は、自室の窓を開けて外の空気を入れながら
パソコンをたたいていました。
「やたら猫の鳴き声がするな・・・」
夕方になって、窓を閉めようとしたときに主人は気づきました。
しかし、我が家の周りに野良猫がいることは、全然珍しいことでは
ありません。
何年か前にも、家の前の土手の草っ原で、三匹の子猫が親猫と
いっしょに住んでいたことがありました。
ですから主人もまあ、どこかの野良猫やろうと思って
放っておいたのです。
ところがそれから三日目の夜、
主人と庭の花に水をあげようとごそごそしていると
またもや「ニャーニャー」という鳴き声が・・・
家の前には池があって、土手があります。
その土手の上の方から鳴き声がする・・・
主人が近づいてみると、一匹の猫がいたのです。
私(博子にゃんにゃん=のちの福ちゃんのお母さんとなる)も
気配に気がついて見に行きました。
私が「ニャー君、おいで!」というと、
猫は土手から下りようとするんですが・・・
何か下りるのがぎこちない。
「あ、この子。足に怪我している」
見れば右足がパンパンに腫れ上がっていて
下りようにも下りれない様子。
仕方なしに、主人がその猫を抱いて下ろしてやりました。
普段なら、主人は野良猫にそういうことはしません。
第一、野良猫が人に呼ばれて近寄ってくることなんて
まずないことです。
ところがこの猫は、抱き上げる主人に抵抗もせず、
うれしそうによく鳴くんです。とても人慣れしている。
右足はかなり痛そうでしたが、血は出ていません。
主人が「冷蔵庫に古いチーズがあった。持ってきてやれ」と
言うのに、私は何の迷いも無く従っていました。
猫は、主人の手から直にチーズをもらって、満足そうに
食べています。その間も逃げようとせず、主人になついてきます。
主人が言いました。私は少し固くなっているチーズを
一生懸命に噛んでいる猫に、半ば語りかけるように言いました。
「きっとそうやね。でも骨折はしてないみたいよ。
折れてたら歩くどころじゃないし・・・
ウチにいた犬もよく階段から落ちて、こんな風に
足をパンパンに腫らしてたわ。
三日ぐらいしたら、自然に治るよ」
我が家は共働き。たまに主人は家で仕事をしますが、外の仕事の方が
多く、私はフルタイムで働く日々。
よくそういう話はしていましたが、散歩のことを考えると
飼われる犬のほうがかわいそうだということで、グッと我慢して
ペットショップの犬や猫を見てはつかの間の慰めを得ていました。
この時は、二人ともペットを飼うことに罪の意識に近いものを
感じていたきらいがあります。
だから、目の前でうれしそうにしている猫を飼うことなんて
ほとんど想像もしていません。ただ単に、
けがをしていても猫のことですから、どこかに行ってしまうだろう。
そんな風に思っていたのでした。



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